2019年9月12日木曜日

みえない

老子 第二十七 巧用より
善行無轍迹
善く行くものは轍迹無し
(上手に道を行く人はわだちの跡を残さない)

孫子 形篇より
善守者、蔵於九地之下、善攻者、動於九天之上
善く守る者は九地の下に蔵れ(かくれ)、善く攻むる者は九天の上に動く
(守りが上手な人は大地の下に隠れたようにその姿をつかむことができず、攻めるのが上手な人ははるか天の上にあるようにその動きを見ることができない)

本当に優れた働きをする者は表からそれをうかがうことができない、と説く。
我々はつい働きを目にすることができないとそれを働いていないと解釈しがちですが、
表から見ることができない、ということが果たして働いていないと言えるのか。


もちろん傍目に明らかであることが重要である場面もあり、
これまた孫子の勢篇より
闘衆如闘寡、形名是也
衆を闘わしむること寡を闘わしむる如きは、形名是れなり
(形は旗印、名は音すなわち楽器、旗印や楽器を用いて少人数を動かすように大軍を意のままに動かすこと)

これはしっかりと指示を行き届かせるには大衆に広く誤りなく伝わる方法が重要であることを説いているのでしょうね。


なんのこっちゃ、という記事になってしまいましたね。
内閣改造とか災害復旧とかであれこれ批判される首長さんや閣僚の人たちがいらっしゃるようで、何となく思うところを書きました。

武道的にも通じるところがあると思うんですよね。
本当に杖や太刀が上手な人は何がどううまいのか傍目にさっぱりわからないし、優れた指導者は大人数のお弟子さんでも見事に統率していらっしゃる。


老子はまだちゃんと読んだことがないんですけれど、孫子は通りいっぺん目を通した程度には読みました。
孫子は岩波文庫で原文、書き下し文、現代語訳がそろって200ページ行かないごく薄い本で、ささっとと読めてお値段600円くらいですから、買って一読する分には全く障りが無かろうと思います。
論語と並んで個人的にオススメの一冊です。

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