2017年1月22日日曜日

杖道上達講座 その4:重心と姿勢

下から順に見ていこう、とか言ってましたがこだわっててもしょうがないと思い直しましてね。
というか、ちょうど昨日稽古で話題になったことをついでにblogのネタにもしてしまおうかと思ったわけです。

そういうわけで、今日は「重心の移動と姿勢の関係」って感じで書いていこうと思います。


前にもちょっと書いた覚えがありますけど、たとえば中段に構えた時、あるいは切り付けた時、杖で言えば本手に構えた時、打ち込んだ時、こういう場合は太刀(杖)と腕が前に伸びているので、重心が前に移動します。
重心が足の間から出ると転びます。言うまでもないけど。

さらに、重心から離れた太刀と腕に重力が作用することで、前に倒れようとする力(モーメント)が発生します。

何も考えないでいると、人間の体は倒れないようにするため、前に出たのと同じだけの質量を後ろにもっていこうとします。
これが大まかに2パターンあって、お尻を引いて後ろに重量を移動させる、つまりはへっぴり腰。
もう一つが、胸を反らして重量を後ろに移動させるのけぞり。

あくまで物理的には正しい反応なんだけれども、やっぱり武道としてみると次の行動に移れない崩れた姿勢には違いないわけです。

じゃあどうするかっていうと、体幹の筋肉、つまりは背筋とか腹筋とかで、前に落ち込もうとする力を打ち消すように姿勢を支える、ということになるんだと思います。
だから黒郷先生は一生懸命「体幹を鍛えなさい」「体幹で太刀を振りなさい」って言われるんですかね。知らんけど(エセ関西人的予防線)。


ちなみにこの重心とアームの移動による体勢の崩れは構えた時だけじゃなくて、たとえば太刀を振り上げたり振り下ろしたりする際にも動的に起こっていますよね。
だから腕にばっかり力が入ってて重心の移動に振り回されると、上半身がぎっこんばったん前後するような挙動になりがちです。
つまり、振り上げの反動で頭や肩が前に出て、振り下ろす反動で上半身が後ろに反る、そういう動作。

杖を振る時はね、案外そうならないんですよね。
刀と違って「引く」っていう動作ができるから。
だからこういうぎっこんばったんは太刀を持ったときに顕著に表れるような気がします。

で、これを修正するためにどうするかっていうと、やっぱり黒郷先生と一緒で「太刀の素振りをしなさい」という結論になりますかねえ。

ただ振れっていうんじゃなくて、
・振り上げ、振り下ろしで上体が前後してないか
・構えた時に上体がまっすぐになっているか
っていうことを逐一チェックしながら振るんですよ。

そういう修正ができていい姿勢を取る習性ができるなら、別に素振りに限らずなんでも構いはしないんですよ。
「私は型で太刀を振るだけでも十分に姿勢の修正ができます!むしろそうすべきです!」っていう人も中にはいらっしゃるかもしれないし。

ただ、私はとてもそうはできないので個別にメニュー組んで、太刀の素振りでよくなりました、っていう体験談として後輩の皆さんに紹介しているまでです。

あくまで一例としてね、私は今までこういう点で注意を受けてきましたよ、こうやってみたらどうですかっていう、そういうお話。

一応、今日のお話のまとめ。
・腕の振りで重心が移動することを意識する
・体幹で姿勢を支えて、重心の移動に振り回されないようにする
ってところでしょうか。

…ただねえ、体幹で支えろ、って言っても、単に腹に力込めたらそれはそれで力んでるっていう気もしなくもないので、何かもっといいやり方があるんじゃないかっていう考えもあったりします。
それがどういうものなのか、わからずにいますけど。

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