初心者がつい自分の構えやすいところに八双の構えを取ってしまうのは昔からよくある話。
稽古の様子を見ていると、高段の方でも下がりながら八双に構える際につい勢いに任せて顎より低いような位置に下がってしまっている様子。
「ああ、あの人も。おや、この人も。」と思いつつ自分の構えをふと確かめてみたら、やっぱり自分も1cmかそこら低い位置に構えてしまっていたりして、反省したところです。
全剣連における八双は、「鍔が唇の高さ」ですからね。皆さんもぜひもう一度見直してみてください。
と、ここで終わるような話ではなかったりしてね。
「そもそも古流剣術諸派における八双はどうなのよ?」っていう疑問をお持ちになったことはございませんか。
杖道においてさえ「古流は耳構え、大八双。全剣連の八双では兜を装着していたら兜に当たってしまう。」と古い先生はおっしゃいました。
ここでちょっとネットをあさって見つけてきた諸派の八双(に近い構え)をご覧ください。
示現流、蜻蛉の構え。高め。
タイ捨流。八双というよりは上段崩し、巴の構えが近いかな?
天真正伝香取神道流。兜装備を前提として高め、前方。
柳生新陰流。低め。
全剣連でこれをやると叱られますが多いんですよね、この形になる人。
天然理心流。全剣連に近いけどやや低め。
神道夢想流杖術併伝、神道流剣術における大八双(耳構え)。
イベントで甲冑をまとってご満悦の管理人。再掲。
写真は最後の1枚を除いて全部ネットからの拾い物です。
またこれらが本当に「その流派における正確な形」を取っているかどうかは保証の限りではありませんのであしからず。思いついた流派をざっと調べてみましたけど、全剣連にどんぴしゃりの構えを取ってる流派ってあるんでしょうかねえ。
成立・起源が古い流派はやはり兜の存在を前提として高めに取るところが多いようなイメージがあります。
wikipediaで探ってみれば、八双の構えとは
「兜の前立てのために振りかぶれない場合の上段の構え」
「刀を手に持つ上で必要以上に余計な力を消費しない」
みたいなことが書いてあるし、そうすると上で言ったような低い位置に構えてしまうというのは
「上段の構えとしては低すぎて障りがある」といえる一方で
「自然に構える楽な形」なのではなかろうかという推察もできそうな気はしますね。
昔誰かが
「全剣連の八双の構えはいろんな流派で高さが違うから間を取ってあの高さになった」
みたいなマユツバものの話をしてたような気がしますけども、どうなんでしょうねえ。
あんまりこの話を進めると「全剣連に文句があるなら来なくてよろしい、段位も取り消し」とか言われてしまいそうなので、今日はこの辺で。
今日のお話しの後半部分はあくまで知的好奇心と根拠のない推論で構成されておりまして、特定の組織や人物に対して批判・攻撃するものではありませんので、そこのところをひとつよろしく。なにとぞ、なにとぞ。