2023年10月28日土曜日

おいゆく

 "I now begin the journey that will lead me into the sunset of my life."

ロナルド・レーガン元米国大統領が、退任後にアルツハイマー病に侵されていることを明らかにした際の文章の一部です。

日本語では「私は今、人生の黄昏に至る旅の途につきます」と言ったところ。

とても美しい詩のような一節です。


老いるとはなんぞや。


私も40歳を通り越して、敦盛の「人生五十年 下天のうちを比ぶれば 夢幻の如くなり」に従えば8割を過ぎたあたり。

最近の「人生80年」によれば、半分過ぎたところ。ぼちぼち人生の後半生について考えるところなのかなと思います。

杖道に関して言えば、まだ修行中とはいえこれまで培ってきたものを後輩の皆さんに譲り渡していかないといけないのかな、なんて思うところ。

何をどうすべきなのか、それもまた手探りなのですが。


ちなみに、レーガン大統領の文章は次のように続きます。

"I know that for America there will always be a bright dawn ahead."

「アメリカには常に明るい夜明けが来るであろうことを知っています」となるでしょうか。

sunset(夕暮れ)からdawn(夜明け)へとつなげていて、本当に詩のよう。


きっと杖の未来も明るいものになる、そう信じています。

2023年10月23日月曜日

ぶしどう

 先日もネタにした槍術範士の先生の本について、また別のお話を紹介しましょう。

「武士の一分」についてのお話。


実はこの範士の先生、とある理由で若いころに10年ほど投獄されたそうです。

その時の裁判について後年、

「近頃の裁判官はどうかしている。犯した罪について詳しく話せというから『武士の約束であるから話すわけにはいかない』というのに、なお話せという。実にけしからんやつだ」

と憤慨していたそうです。

筆者は「当時の武士気質を知るに十分である」と書いていますけれど、今の我々からしたら裁判官もたいそう困ったろうなあと思います。


当時の武士は意地と面目が法より大事。
現代人の感覚では理解しにくいところがありますが、それが「武士の一分」だったのかもしれませんね。

2023年10月22日日曜日

おでかけ

 「初心者の仕事は失敗することだと思って、どんどん失敗しましょうね」

これは私が道場でよく言うセリフです。


それを言う私も上達に従って新しい課題に取り組むときがあるわけで、自分も失敗しながら上達を目指さないといけないんですよね。


そういうわけで、この土日はまた福岡にお邪魔して稽古をつけて頂きました。


「稽古じゃなくて福岡グルメ食べに来とるだけじゃなかと?」

いや、決してそんなことは…。


しかし竈門神社の月例祭のあとの稽古で、みんなが「そろそろ寒くなってきたから終わらんかな」と言ってる中、冨永先生だけが元気に生き生きと稽古を続けていて、

「冨永先生は本当に杖道がお好きなんだなあ」

と思いました。

「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」を見た気がします。

2023年10月19日木曜日

おもしろ

 最近、ちょっと変わった本を買いました。

とある大日本武徳会槍術範士にまつわるお話を書いた本です。

ざっと眺めてみたところちょっと面白い話が書かれていて、およそ次の通り。



槍術範士の先生が80歳になったので、弟子や後輩が集まってまとまったお金を差し上げた。
先生は大変喜んで受け取ったが、翌日から突然行方不明になった。
1ヶ月2ヶ月してようやく姿を現してどうしていたのか聞いたところ、「せっかく皆がお金をくれたから、棒や杖の研究をしたいと思っていたので九州に行ってきた」とおっしゃる。

行き先(の1つ)はなんと福岡の乙藤市蔵先生のところであったそうな。

「乙藤さん、杖を教えてほしい」
「高山師範をお尋ねですか」
「いいや、乙藤さん、あなたを尋ねてきた。あなた、京都で演武をしたでしょう」

その頃は高山先生が道場を預かっていらしたのでまずは道場へ案内し、先生は大変熱心に稽古をご覧になったという。

ある時、弟の乙藤春雄先生が稽古のあとで木剣を持って杖3人と相対して戯れていたところ、ついに壁際まで追いやられた。
それを見て先生曰く「追い詰められて備えを崩さないのは見事だ、なかなかできることではない」。



昭和5~6年の頃の出来事だそうです。

杖の話が出てくると思わずに買った本にまさか乙藤先生が登場するなんて、色々驚きですね。

乙藤市蔵先生が30か31歳くらい、春雄先生が24か25歳くらいのときのお話でしょうか。

80歳の槍の先生が30歳くらいの孫くらいの歳の人のところへ「杖を教えてくれ」と尋ねていくのも凄いし、
「杖といえば京都で見たあの人だ」って名前が出てくる市蔵先生も凄いし、
おまけで出てくる春雄先生の話もなんか凄い、
まあ皆さん並みじゃないなと思いますよね。

私は遊びでも木刀1本で杖3人を相手にするなんて到底出来そうにないです。

2023年10月9日月曜日

みじゅく

 「あなたの業なら小指一本でも耐えられるよ」

と言われ、実際にやってみてそうなってしまうと、「私の20年の稽古はいったいなんだったのだろう」みたいな気持ちに陥るし、結局その理由も「ああ、そんなことだったのか」と言うほどの小さなことだったりすると、猶の事悲しい気持ちになります。

ただ、「ああ、そんなこと」と言うための力を備えるのに20年の稽古が必要だったのだと、そう思うことにします。


いつぞやも書きましたけれど、

下手糞の 上級者への 道のりは 己が下手さを 知りて一歩目

ということで、これからも地道に稽古に励みます。

2023年10月8日日曜日

かよえば…

 宴のあとさき。


BGMは布施明の「歓送の歌」で。


2023年10月1日日曜日

しゃしん

 先月の全国杖道大会と、今日のスポーツフェスティバルの写真など並べてみます。













こうして並べてみると、やっぱり皆さん6年前と比べると年を取ったなという感じはします。私もですけど。
そのうち、「こんな写真が残ってたんだね」という時がくるんでしょうか。


で、今日のスポーツフェスティバル。杖道部からも出展。




「おっさんの写真なんか撮ってないよ」と言いましたね。
あれはウソです。

演武が終わって、皆さんいい笑顔。

というところでお開き。
あとはなんか面白そうだったブースの写真です。面白そうじゃない?