2020年3月15日日曜日

うったて

岡山県に(と、聞くところによると香川県でも)「うったて」という言葉があります。

「物事のはじまり」というほどの意味の言葉で、「うったてをちゃんとせにゃーおえん(最初をちゃんとしないといけない)」「うったてから間違ごーとる(前提、初手から間違っている)」などと使います。

さて、私はこの言葉を書道から来たんだろうと勝手に思っていました。
小学校の書道の時間に「しっかりうったてをして(紙に筆をしっかり押しあてて)、それから線を引きなさい」とかそんな感じで教わったような記憶があるからです。
つまり「筆を紙に打ち立てる」というところから「打ち立て」→「うったて」になったのだろう、それが「運筆のはじまり」→「物事のはじまり」と意味が拡張されて行ったのだろうと。

さっきネットでちょろっと調べたところによると語源としてはそれであっているようなんですが、武道の世界では似たような言葉があるらしいことを最近知りました。

それが「押立」。
「おったて」「おしたて」と読むそうです。

林崎新夢想流などの型に使われている言葉だそうですが、意味は「押し立てる=勢いよく立てる」というもので、「うったて」のもとである「打ち立てる」とほぼ同じです。
またこの「押立」という型は1本目に位置するそうで、これもまた「うったて」とのつながりを感じずにはいられません。

実際に流派の中でどのような意味でこの「押立」という言葉が用いられているかは存じませんのでこれ以上のことはなんとも言えませんけれど、
書道にせよ武道にせよ、「物事は最初が大事」「最初をドッカリと据えることが大事」という点で共通する考えがあるのかもしれませんね。

言語学上の検証は専門家や詳しい人にゆだねるとしても、「打ち立てる」が「うったてる」となり、伝わるうちに「おったてる=押し立てる」に変わったのかな、あるいはその逆なのかな、などと妄想すると意外に楽しいものですね。

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