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2019年7月29日月曜日

杖道上達講座 その10:手幅のこと

久しぶりの杖道上達講座です。
書こう書こうと思いながら、なかなか手を付けられずに2か月ぐらいたってしまったネタでいきます。

なお繰り返しになりますが、この一連の記事は平凡な5段が初段2段の皆さんに向けて書く脱初心者用アドバイスでありつつ、「私はこういう点について指導を受けてきましたよ」というある種の備忘録ですので、そこのところよろしく。

さて、今回のテーマは手幅です。

構えたとき、打突したとき、正しい手幅に取ることを意識しましょう。
まとめてしまえばたったこれだけです。

そして、手幅というのは、極論すれば3つしかありません。
・およそ1/4
・およそ1/3
・半々
この3つですね。

1/4とか1/3というのは解説書の書き方で、私はそれぞれ「七三(シチサン)」「四分六(シブロク)」と先生に習いました。
握りこむ分の長さもあるので多少の揺れはあるものの、言っていることは同じです。


まず1つ目。
構えは3つ、とは言ったもののかなりの割合で1/4の手幅が用いられますよね。
本手の構え、逆手の構え、また本手打、逆手打、引落打などで打ち込んだ時の手幅はすべてこれです。

1/4(七三)の手幅

これは多く使われるだけにここであれこれ言うこともなかろうかと思います。
あえていくつか記すなら、1つには構えた時はよくても打ち込んだ時に手幅が正確でないことが多いです。
手幅が広い人、狭い人、これは個々の癖がありますので、人に見てもらって確認するとよいでしょう。
特に11本目と12本目で現れる抑止打ちとか回し打ちとか 言われる業でひどく広い人が多いようですから、ここは特に稽古のしどころだと思いますね。

少し気を付けておきたいのが、手幅がずれているときはただ手幅だけの問題でなくて姿勢や体勢のどこかよくないことが多いことです。
手や腕だけでなくて、全体を見ながら調整するとなお良くなると思います。



続きまして、2つ目。1/3の手幅。
これは繰付と雷打、あとは突外打で下がって受けたところで使う手幅ですね。

1/3(四分六)の手幅

これは広い手幅から詰めて構えることが多いせいか、つい広く取りがちな人が多いようです。
半々、五分五分くらいに握ってしまうことが多いんですよね。
この構えになる前、逆手の引落とかの時点で変に腕に力がはいったりしてると崩れやすいように思います。
もう一つは杖尾を握る手がしっかり締まっていないケース。
構えた時、握ったときにしっかり杖尾の手の内を絞ることも手幅に重要だと思います。
この辺りに気を付ければ改善する場合が多いんじゃないでしょうか。


最後に、半々というか真ん中を握る構え。つまりは常の構えです。
1つ例外もありますけども。

そして、この常の構えで手幅がよろしくない人が少なからずいらっしゃいますね。
ほとんどの場合、前が長いです。見比べてみましょう。

ほぼ真ん中

前がおよそ一握りほど長い

では、なぜ常の構えで長さが狂ってる人が多いのか。
狂う場面としては、残心の飾りを納めるときが一番多いと思いますね。

飾りから納める場面(よくない例)

これです。
見るからに前が長いでしょ。

原因の一つとしては、握りがきつすぎることがあるように思います。
ギュッと握りこんでしまうと前後の重さのバランスが分かりにくくなって、結果として前を長く残してしまいがちになるようです。

またどうしても目の前に相手がいるとそれを攻めるよう気持ちが強くなって、前に伸ばしてしまいたくなるものですからね。
正確にぴったりど真ん中を一発で握ることは難しいにしても、せめて指1本2本くらいの誤差で納められるように意識したいところです。

半々に握る場合の1つの例外というのが、11本目で見られる所謂十字構えですね。

十字構え

これは1/3の手幅から右手を伸ばして真ん中を握るわけですが、両手で握るために拳1つ分ずらしてとらないといけないところがミソですよね。
何も考えずに取ってるとつい取り足りなかったりします。
ちゃんとまっすぐ横に向かずに傾いていたりとかね。



最後に、繰り返しになりますがまとめです。
構えたとき、打突したとき、正しい手幅に取ることを意識しましょう。
あと以前にも書きましたので最後に持ってきましたけど、端を余らせずに杖尾をきちんと取る癖をつけることも大事ですよ。
分割点になるほうの手よりも、むしろ杖尾の手のほうが大事とさえ言われますからね。

こういうことは普段の基本打ちから稽古できることですから、是非とも普段から気にして直していきたいところですね。
というところで今回はお開き。
いつになるか分かりませんが、また次回。


p.s.私よりうまい人が見れば、写真に写る私の構えがすでに狂ってるじゃないかという突っ込みもあろうかと思いますけれど、それは今後の伸びしろということで心の中にとどめておいていただけると私の精神衛生上助かります。

2018年5月8日火曜日

杖道上達講座 その9:中心を意識する

最近このことで後輩の皆さんに指摘することが多かったな、というテーマで久しぶりの杖道上達講座です。
例によって例のごとく、なんちゃって5段である私がこれまでこんなこと言われてきたな、というネタのおすそ分けであって、
もっとちゃんとした先生から指導を受けられる人はそっちを聞いてくださいという程度のお話です。

今回のお題は「中心」。
仕・打の互いの中心を結ぶ線です。
とりあえず中心線と言うことにします。

中心線について構えの中で、型の中で意識できてますか?
特に正対、やや半身、真半身と構えを移すときに中心線からずれてないですか?
ということを見てみたいと思います。

型の中で「どう動くか」はわりと皆さん一生懸命おぼえるんですけど、「どこにいるべきか」「どこに向かって動くべきか」ということはついなおざりにされがちな気がします。

それではさっそく写真で見てみましょう。
例としては、3本目・引提とか7本目・霞なんかをイメージしながら見るとよろしいです。

初め正対している状態。
打太刀と仕杖を結ぶ線はこの白線です。

ありがちな失敗。
後構え、霞の構えに取ったとき、もと居た線の上からずれています。

白線が互いを結ぶ中心線なのだから、
この線の上で真半身に構えるのがよろしいですね。


角度を変えて。
ついやってしまいがちなやつ。
中心線にいたはずが…

後構え、霞に構えたら向かって右に外れて…

踏みかえて打太刀と合わせて構えると、
今度は向かって左に外れる。

その場で構えを変えるだけのはずが、右に左にふらふら動いちゃってますね。
これをやっちゃうと互いを結ぶ線がずれちゃって、型の理合いが崩れてしまうんです。
「太刀は正面を斬る」となっているところが、正面に杖がいない、体1枚ずれたところにいる、というようなことになってしまうワケですね。

特に起こりやすいのは「下がって構える」というときだと思うんです。
前に出るときは相手が正面にいて出るべき方向が見えてるからそんなにぶれない。
だけど、後には目がついてないし見えないから、つい軸足の後ろに下がる足を回り込ませてしまいがちです。

これは仕杖だけでなく打太刀も同様で、5本目・左貫や11本目・乱留で立て続けに下がるときに元の中心線からずれた方向に下がる人がちらほら見えます。
打太刀としてはただ下がるのではなくてあくまで次の攻撃に備える意味で下がるわけですから、下がる方向が狂うと相手を正面から逃してしまって次への備えが不十分になってしまう、ということになるんじゃないでしょうか。

それでは中心線から外れないようにどう対策するか、ということですが
両足の母指球をまっすぐ前後させる
というのがコツだと思います。
あくまで私の個人的な感覚ですけども。

このあたりの足の運び方は第1回でも書いたところですので、よろしければまた見直してみてください。


ちなみに、意識してこの中心線を外す動きもありますよね。
2本目・水月、4本目・斜面、6本目・物見、あるいは基本打ちの繰付の用意の構えなどがそうですね。
打太刀の斬り付け、斬り下ろしに対して中心線=攻撃ラインから逃れて、同時に攻撃を繰り出す、という動作です。
次の動作からは新たな中心線に変わって型を遣うことになりますね。



さて、もう一つ考えておかないといけないことがあって、
型の中で相手がずれてしまったら、ずれたのに合わせて技を遣うべきか、本来あるべき位置に向けて技を遣うべきか
ということ。

言うまでもないかとは思いますけど、それはやはり「今まさに相手がいる位置に向けて遣う」というのが答えでしょう。
ずれたらずれた位置に向けて太刀を振るう、杖を遣う。
型の理合いだけにとらわれて居もしないところに技を遣うのは本末転倒というもので、そこは臨機応変に遣うのがでよろしいんではないでしょうか。


そういうわけで、この中心線というものをきちんととらえて動くあるいは構えることができるようになると、またちょっと初心者の皮が一枚剥けるかなあと思うのであります。



余談。
私が以前に8段の先生に指摘されていまだに治らない癖。
これはまあまあの足配り。

これがNGのやつ。

何がまずいかわかりますかね。

下げた足が前足の後ろよりさらに回り込んで下がってる。

中心にいるようで、実は足が回り込んじゃってて構えが不十分、体が相手を向いていない、という例でした。

人のこととやかく言ってる場合じゃない。
精進しましょう。

2018年2月13日火曜日

杖道上達講座 その8:礼法について

ブログ自体も、このタグも、だいぶ久しくご無沙汰しましたけども、書こうか書くまいか悩んだ末にだいぶ危険なネタについて書いてみようと思います。

ということで、今回は「礼法」について。

例によって、あくまでここに書くことは現時点で私がぼんやりと考えていることであって、全剣連や神道夢想流の教義はこうだと語るものではないです。
後輩諸氏に「礼法で大事なことって何ですか?」と聞かれたら私はこうじゃないかと思うよ、と答えるようなそんな程度の内容です。


さて、礼法について大事なことはと問われたら、私が大事だと思っているのは2点。
1.相手をよく見ること
2.相手に合わせて動くこと
この2つです。


礼法というと、多くの場合「お辞儀の角度が…」「杖の持ち方が…」とかそういう部分にフォーカスしがちなように思います。
それらが間違いというわけじゃないけれど、それらはあくまで「所作」「決めごと」であって、礼法の中核をなす部分とはいいがたいのではないか、と最近思うようになりました。

要するに、どんなに完璧なお辞儀ができたとしても、相手のことを鑑みずに勝手にパッパパッパ動いていては礼にならないよ、ということですね。
同時に、どれほど相手と呼吸が合っていてもいい加減なお辞儀・所作では礼法として不足である、ということも言えるでしょうね。


で、これって型を遣うときの心得と全く変わらないと思うんですよね。
相手をよく見る、相手の起こりを捉える、相手の動きに合わせて打ち込んでいく。
違うのは相手と和するのか撃ち合うのか、頭を下げるのか得物を打ち込むのかということだけ。

口では礼が大事だとかうるさく言ってても、いざ型に入ると相手のことなどお構いなしに勝手にさっさと動いてしまう人、いるでしょ?
そういう人は形だけはちゃんとできているようで、結局独りよがりの礼だし自分勝手な型遣いですよね。
それでは型として成り立たないし、術として遣えているとはいいがたいと思うわけです。
ましてそういう人とまた次も一緒に稽古したいとも思えませんしね。

礼にせよ術にせよ、極めれば相手の心身の働きを感受し、時に合わせ時に乱し、和するも倒すも自由自在、ということになるのかもしれません。
このへんはあくまで私の拡大解釈です。



さて、次はもう少し別の視点から礼法を捉えてみたいと思います。
「決められたことを決められたとおりにすることが、礼法足りうるか?」という疑問。

「全剣連ではこう決まっているんだからその通りにしなさい」というのはよく言われることです。
決まりを守る、ということは美徳であり礼法に適う、というのは一見正しいように見えます。
しかし、「決まりだから」という理由で従うとしたら、それはただの盲従に過ぎず礼法足りえないのではないか。

例えば、「赤信号を渡ってはいけない」というルールがあります。
なぜ赤信号を渡ってはいけないの?と子供に聞かれて「ルールだから」で納得してくれるでしょうか。
「交通をスムーズに保って事故を無くすためだ」と理解していて初めて意味が生まれるわけです。
そう考えた時、「そう決まっているからその通りにせよ」という言い回しはとても空虚に思えます。

とはいえ、駆け出しの初心者のころからいちいち「なんで?」「どうして?」と立ち止まっていては全く先に進まないというのもまた事実。
だからごく最初のころは「こう決まっている」という教え方/覚え方でいいと思います。
そこから稽古が進むにつれて「こういう理由ではないか」という考えを持つようになれたら、形のなかの身が伴ってきて礼が礼として働き始めるのかなと思うのです。
この辺りも基本打ちや型の覚え始めのころと一緒ですね。


…なんでこのネタにあまり触れたくなかったか、っていうとこの辺りなんですよね。
前にもちょっと書きましたけども、「立礼はカカトをつける」に対して、「剣道に合わせます」はいいとして、じゃあなんで剣道ではカカトつけるんですか?っていう答えが返ってこない/導けないから。


さて、空しい問いは横へ置くことにして本日のまとめ。
1.相手をよく見る
2.相手に合わせる
3.作法の意味を考える

最期に、私の愛読書?である論語から意味深な一節を抜き出して終わりたいと思います。

子大廟に入りて事毎に問う。
或るひと曰く、敦か鄒人の子を礼を知れりと言うか。大廟に入りて事毎に問う、と。
子之を聞きて曰く、是れ礼なり、と。

<孔子が(祭祀の手伝いのため)廟に入ってこと細かく作法を尋ねた。
それを見て「孔子は礼法に通暁した人だなんて誰が言ったんだ。何もかも聞かなきゃわからないんじゃないか」と言うものがいた。
孔子はそれを聞いて「こうすることが礼なのだ」とおっしゃった。>

本当は礼法を細かく知ってはいてもそれをひけらかしたり押し付けたりしないようにする、ローカルルールを尊重する、それも礼法だ、ととらえるか。
はたまた本当にわかってなかったのをうまいこと言い抜けたのか。
真実は子のみぞ知る…。

2017年5月25日木曜日

杖道上達講座 その7:杖の持ち方、構え方

昨日今日と雨で稽古に出られなかったので、何となく後回しにしていた講座の第7回に手を付けてみましょう。

今回は「杖の持ち方、構え方」。
本来ならこれが一番最初でもいいんじゃないのっていうテーマです。

例によって例のごとく、「私が気にしているポイント、注意されてきたこと」が主眼なので、内容には偏りがありますよ。
あと、身近な先生や先輩のなさりようを見ていただくのが一番なのは言うまでもないことです。


さて、まずは常の構えから。
私が気を付けているのは3点。
1.杖の先が相手の目に付いているか
2.足の配り
3.握り
この3つです。

1の目付については、7歩の間合に相手を立ててチェックしてもらうのが手っ取り早いです。
「杖先の上下」「杖先が内向きか外向きか」という2つの軸があるので、型稽古の時にちょっと意識してみましょう。

2の足の配りについては、すでに第1回でやった通りです。
ハの字に開いてないかな、というだけ。

3の握りについて。
特に解説本に書いてあるわけでもないんですけど、写真で見てもらうのが早いですね。

私も昔よくやりました。ゆるっと、がばっと、すかすかです。

「ギュー」じゃなくて「キュッ」って感じで軽く締めましょう。
童の手を握るがごとし、ってやつです。

これだけ。
たったこれだけですけど、ちょっと印象が変わってきますから、ぜひ確認してみてください。

ちなみに、なんか杖が外向いてように見えるのは、単にカメラが近いせいです。


じゃ、次。
本手の構え&逆手の構えの手の位置について。

「あるある」なNG写真から見てもらいましょうね。
横から。
本手を取り忘れたので逆手の構えで代用。
後ろ手が下がりすぎですね。

正面から。
こっちは本手の構え。
杖尾の手が中心線に乗ってしまっています。

頭ではわかってるんだけれども、「杖先が相手の目につくように、胸の高さ、喉の高さ」って杖先ばかりに気を取られて、杖尾がおろそかになっちゃうんですよね。

特に崩れやすいのは「引提」の後ろ構えから合わせた時。
あるいはウチバリ(引落打)や逆バリ(逆手打)から前に攻めて出た時。
もう1つ加えるなら引落の構えから打ち込んだ時。

動いてるときは次の動きに意識が行ってしまって、つい形がおろそかになりがちなので、型の順序を覚えるのと並行して、形を整える稽古もするようにしたいですね。
「意識せずにしていることを、意識して行うようにする」というのはなかなか脳みそがくたびれるんですけど、脳トレと思ってぜひ。

では、なんちゃって5段の構えをご覧ください。
杖尾の目安はヘソの高さ、ヘソ前から拳1,2個分目安で開ける。
真横からの写真ですが、実際には体がやや斜めなので1,2個分に見えないかも。

杖先は中心をとらえているけれど、
杖尾の手は中心線から拳1つ程度外へ外してあります。
杖に沿って真っ直ぐ手を引けるギリギリの位置ということ。

さすがに7段8段の先生からすると粗があるかと思いますけれど、これくらい出来たら初2段としては上々じゃないでしょうか。

あともう1つ、気にしておきたいことがあります。
コレ。杖尾が余ってる。

掌のお肉にはかかってるので「ちゃんといっぱいに握りこめてる!」と思いたいところですが、残念ながら余ってますね。
やっぱり「小指に杖の端っこが掛かってる」というのがいっぱいに取るということですから、もうちょっと送り込みましょう。

余ってな~い。

審査員とか審判員は横から見ているので、こういうのが案外目立つんですよ。
審査とか勝負とか関係なしに、余ってると次に手の内で杖を返す障りになりますから、やっぱりきっちり握りこめるのがベターですよね。
杖を取る時に、小指をセンサーにして角が掛かってるかどうかというのを意識してやるといいと思います。


それでは今回のまとめ。
1.常の構えで、手の内が緩んでいないか?
2.本手&逆手の構えで、杖尾の手が下がりすぎていないか?
3.同じく本手&逆手の構えで、杖尾の手が中心線に乗っていないか?
2と3については、特に動きの中で崩れがちなので、型の途中途中で1つずつ構えをチェックしながら稽古してみてください。

よく言うんですけど、箸の使い方と一緒で、矯正してる最初のうちはうまくいかなくてイライラしますけど、直に意識せずにできるようになりますからね。
ちょっとずつ気にしてみてください。

以上!解散!

2017年4月20日木曜日

杖道上達講座 その6.5:抜刀の際の柄の取り方

非常に小さなトピックですが、刀の持ち方と帯刀の間の「刀を抜くときの柄の取り方」について。

まずはこの写真をご覧ください。


以上です。



いや、ほんと言いたかったのはコレだけなんです。

もうちょっと言葉を足すと、
・横から鷲掴みするような掴み方
・上からかぶさるような掴み方
こういうのはダメだよってこと。

自然に垂らした右手をそっと持ち上げて柄に添える、「掴む」まで行かない、「手をかける」ように柄を取るんですよ、ってこと。

擬音を付けるなら「ギュッ」とか「ムンズ」じゃなくて、「スッ」とか「そっ」です。

後のことは居合に詳しい先生に聞いてください。

そんじゃーね。

2017年4月19日水曜日

杖道上達講座 その6:帯刀の仕方

前回、と言ってももう2か月も前の話になっちゃいましたけど、太刀の持ち方をやりましたので、今回は帯刀について注意点というか、気を付けたいところをやってみたいと思います。

初段を貰って稽古が進むと、帯刀から始まる型が出てきますね。
10本目・正眼と、12本目・乱合です。

それまで全然必要なかったので、「じゃあ10本目の打太刀ね」と言われて面食らう、これは杖道修行者あるあるではなかろうかと思いますので、写真を見ながら追っかけてみましょう。


まずは一番多用するであろう、「開始線まで戻ってきて、構えを解いた姿勢からの帯刀」について。2パターン有りますが、1つ目のパターンA。

構えを解いた姿勢から、左手を離して、親指で木刀を差し込む場所を探ります。
鞘がある場合の、鯉口を探る動作に該当するわけです。

木刀を上から返して、左手の親指と人差し指の谷間に置きます。
(※1)

木刀を谷間に乗せたまま右前方にそっと滑らせて、
左手親指で探って開けた穴に切っ先を落とします。

木刀を差し込んで行きます。

差し込み終わると同時に、右足を左足に引き付けて完成。
いわゆる納刀の動作に近い。
杖道では、「柄頭が正中線」が定位置です。

※1の部分、2つ注意点がありまして
1.左手で帯刀する場所を探る間、木刀は動かさないこと。写真ではセルフでシャッターを切らねばならぬ都合上動いちゃいましたけど、ダメ、絶対。
2.刀を上から返すときに、刀を避けるように首を傾けちゃう人がいます。ダメ、絶対。
姿勢はキープしたままで、刀だけを動かすんですよ。


次に、パターンB。
左手を離して、刀を差し込む場所を探るのは一緒。

今度は下から刀を返して、左手親指は差し込んだまま左手に挟みます。

木刀を左手に挟んだまま右前方に滑らせ、
切っ先を左手親指で開けた場所まで誘導します。

切っ先が入ったら木刀をゆっくり差し込んでいきます。

差し込み終わると同時に、右足を左足に引き付けて完成。


今のところ、どっちのパターンでもいいよ、好みでいいよ、ってことになってます。
ただ、「真剣だったらパターンBは使えないだろ」っていう意見も根強いですね。
パターンA の場合。
形が汚いのは勘弁。

パターンBの場合。
手が斬れちゃ~う!!

まあ、私はパターンBを愛用してますが、特に何か言われたことは、ないです。
現行の教本(もうじき新版に置き換わります)には「右手で刃を上に柄を返しながら剣先を腹部の左手に送り」って書いてあって、どちらでも記述には合致してますね。

そこら辺の話は偉い先生方におまかせするとして、続いては「携刀(けいとう)からの帯刀」について。
まずは提刀(さげとう)から。
立礼が済んだ直後とかですね。

木刀を左手に移して、携刀姿勢になります。
(※2)

右手を下からあてがい、右親指を鍔にかけます。

左手の親指で差し込む場所を探ります。
次いで右手で刀を前方に送り出しながら、
切っ先を左手親指の場所へ誘導します。

切っ先が入ったらゆっくりと木刀を差し込んでいきます。

完成。
上のパターンBの作法に近いです。
居合で鞘ぐるみ帯に差す動作とほぼ一緒。
足は引き付けるまでもなく、はじめから揃ったままですね。

※2
携刀の時も「柄頭が正中線」が正解。この写真はNGですね。ごめんなさい。

抜刀からの帯刀、携刀からの帯刀、いずれの場合も共通して重要なポイントが1つ。
「相手から・正面から目をそらさない」ということ。
何度か練習すれば自然にできるようになりますから、稽古を積んでくださいね。



さて、ここまででまだ説明してない重要事項が一つありますね。
「帯刀する場所」ってどこやねん!!
ということ。

居合してる人は真っ先に習うので今更、って話ですが、杖道から入った人は知らないのがふつうというか、改めて習うことってあんまりない気がしますね。

さくっと言えば、「帯と帯の間」です。
通常、帯は腹を3巻きしてると思いますが、厳密には「(内側から)1巻き目と2巻き目の間」という話を聞いたことがあります。
ホントかどうかまでは私は知りません。

帯に上から差し込んで、どこに出てくるのが正しいのか、それはこの写真をご覧ください。
帯と、袴の紐の間です。

ここが一番安定がよい、ということなんだと思います。
木刀だと袴の紐の下から出てきてもどうということはないですけど、本来なら重たい刀ですからコジリが下がっちゃったりするんだと思います。たぶん。きっと。おそらく。



…一応ここまで正確なところを書いてきたつもりなんですけども、じゃあ実際の稽古でほんとに100%完全に間違いなくこの通りやってるか、って言われたら全然そんなことないです。

正直に言います。
めっちゃ手抜きしてます。ごめんなさい。

「帯と帯の間」とか言いながらフツーにしれっと胴着と帯の間に差し込んでるし、
「帯と袴の紐の間」とか言いながら何食わぬ顔して袴の紐の下から出してます。

いやだってさあ、居合なら鞘一回差し込んじゃえばおしまいだから少々手間でも神経遣っても正確な位置にいれるしそうしなきゃいけないんだけどさあ。
杖道だと何度も何度も抜刀の度に正確にやろうとすると時間もかかるし左手がごそごそゴソゴソ動き回る羽目になるでしょ。
状況によっては多少雑でもまあいいかってなるでしょ。
後輩の皆さんにも、そこまで完璧を求めることは私にはとてもできませんのですよ。

演武とか審査ではちゃんとしましょう。私もしてるつもりです。

そこらへんのけじめはつけるということで、どうか一つご勘弁のほどを、なにとぞなにとぞ。


えー、話が少し脱線しましたが、注意点をざっくりまとめます。
・正面から視線を外さずに、左手だけ動かして帯を探る
・切っ先を左手に誘導し、そこから刀を差し込んでいく
・差し込み終わるのと同時に前足を後ろに引き付ける
・刀を差し込むのは帯と帯の間、コジリが帯と袴の紐の間から出てくるのが正しい
・杖道では柄頭が正中線に来るようにする
このくらいですかね。

あとは練習あるのみです。
だいじょーぶだいじょーぶ、鉛筆の持ち方と一緒で一度覚えたらすぐできるようになりますから。

2017年2月3日金曜日

杖道上達講座 その5:太刀の持ち方

前回に引き続き、ちょっと稽古で話題に出たネタで一席。


ホントのこと言うと、居合やってるわけでもない私がこのネタ語ってええものやらどうなのやらと思うんですけれど、
曲がりなりにも5段をもらったからにはせめて初2段くらいの人たちにそれなりの説明が出来ねばなるまいと思い、筆を執った次第。

細かいことは解説書にも書いてあるので、まずは見てもらうのが早いでしょう。

柄に対して、腕の線が斜めになるように握る。
ゴルフをやったことのある人は、ゴルフクラブの握りをして前後に離した感じだと言えば伝わるでしょうか。

ダメなやつがこちら。


ちなみにちゃんと握ったところを上から見るとこう。
橈骨がかぶるように、っていうか、しっかり絞ってね、って感じですかね。


んでもって中段に構えたときがこんな感じ。


一応、「左手で握れ、右手は添えるだけ」「左手で切れ!」みたいに言うんですけど、なんていうか、そればっかり意識しちゃうとギューッって握りしめちゃって却って逆効果に思えるときがあるんですよね。
確かに力の配分で言うと左が7、右が3くらいな感じには違いないんですけれど。

個人的な感覚だと、「握る」っていうよりは「支える」とか「手の内に収める」ってくらいの感じというか、「これ以上緩くしたらおちちゃう!」ってくらいにゆるーくしておくような意識なんですよ。
握りしめちゃうと腕も方も力んじゃって動きが硬くなるから。

かといって、掌が見えるようなガバガバな握りもダメ。
構えを解いたとき、八双に構えたときに、右手の掌が開いて見えてる人がぼちぼち見られますけど、以前大阪の森本先生が「あれは良くないよ」っておっしゃってました。
私もそう思うようになりました。緩くしてるんじゃなくて緩んでるだけですよ、あれ。握りが解けちゃってる。


取り留めなく色々書いてきましたけど、順序を追ってまとめてみますと、
1.まずは中段・正眼できちんとした形に握れるように意識する。先輩や先生に診てもらうとよろしいでしょう。
2.形が出来たら力の配分を意識する。腕や肩からもなるたけ力を抜きましょうね。
3.八双や構えを解いた姿勢、その他いろいろな形での握りを意識する。特に右手がガバガバになってないかを見る。

こんな感じですかね。一気にあれもこれも追っかけるんじゃなくて、一つ一つクリアしていけばいいと思います。


それともう一つ、自分の体格に合った木刀を使ってくださいね。
子供や女性、背の低い人が柄の太い木刀を持つと、きれいに握れないことがあるみたいです。
逆に手の大きい人があまり細い柄の木刀や太刀を持つと握りにくいはず。

購入の際に吟味するか、太いなと感じたらかんなややすりでちょっと細くしてもいいんじゃないでしょうか。


p.s.
なんで前回も今回もこんな写真があるのかって?
実は似たようなネタでコミケにフリーペーパー出しましてね。
その使いまわしです。はっはっは。

<2018.3.21加筆>
ここに書かれていることはあくまで全剣連式及び神道夢想流の所作についてであって、かつ「私はこういう風に習った」ということであり、流派によって細部は異なります。
また師範によっても考え方や表現が異なります。

2017年1月22日日曜日

杖道上達講座 その4:重心と姿勢

下から順に見ていこう、とか言ってましたがこだわっててもしょうがないと思い直しましてね。
というか、ちょうど昨日稽古で話題になったことをついでにblogのネタにもしてしまおうかと思ったわけです。

そういうわけで、今日は「重心の移動と姿勢の関係」って感じで書いていこうと思います。


前にもちょっと書いた覚えがありますけど、たとえば中段に構えた時、あるいは切り付けた時、杖で言えば本手に構えた時、打ち込んだ時、こういう場合は太刀(杖)と腕が前に伸びているので、重心が前に移動します。
重心が足の間から出ると転びます。言うまでもないけど。

さらに、重心から離れた太刀と腕に重力が作用することで、前に倒れようとする力(モーメント)が発生します。

何も考えないでいると、人間の体は倒れないようにするため、前に出たのと同じだけの質量を後ろにもっていこうとします。
これが大まかに2パターンあって、お尻を引いて後ろに重量を移動させる、つまりはへっぴり腰。
もう一つが、胸を反らして重量を後ろに移動させるのけぞり。

あくまで物理的には正しい反応なんだけれども、やっぱり武道としてみると次の行動に移れない崩れた姿勢には違いないわけです。

じゃあどうするかっていうと、体幹の筋肉、つまりは背筋とか腹筋とかで、前に落ち込もうとする力を打ち消すように姿勢を支える、ということになるんだと思います。
だから黒郷先生は一生懸命「体幹を鍛えなさい」「体幹で太刀を振りなさい」って言われるんですかね。知らんけど(エセ関西人的予防線)。


ちなみにこの重心とアームの移動による体勢の崩れは構えた時だけじゃなくて、たとえば太刀を振り上げたり振り下ろしたりする際にも動的に起こっていますよね。
だから腕にばっかり力が入ってて重心の移動に振り回されると、上半身がぎっこんばったん前後するような挙動になりがちです。
つまり、振り上げの反動で頭や肩が前に出て、振り下ろす反動で上半身が後ろに反る、そういう動作。

杖を振る時はね、案外そうならないんですよね。
刀と違って「引く」っていう動作ができるから。
だからこういうぎっこんばったんは太刀を持ったときに顕著に表れるような気がします。

で、これを修正するためにどうするかっていうと、やっぱり黒郷先生と一緒で「太刀の素振りをしなさい」という結論になりますかねえ。

ただ振れっていうんじゃなくて、
・振り上げ、振り下ろしで上体が前後してないか
・構えた時に上体がまっすぐになっているか
っていうことを逐一チェックしながら振るんですよ。

そういう修正ができていい姿勢を取る習性ができるなら、別に素振りに限らずなんでも構いはしないんですよ。
「私は型で太刀を振るだけでも十分に姿勢の修正ができます!むしろそうすべきです!」っていう人も中にはいらっしゃるかもしれないし。

ただ、私はとてもそうはできないので個別にメニュー組んで、太刀の素振りでよくなりました、っていう体験談として後輩の皆さんに紹介しているまでです。

あくまで一例としてね、私は今までこういう点で注意を受けてきましたよ、こうやってみたらどうですかっていう、そういうお話。

一応、今日のお話のまとめ。
・腕の振りで重心が移動することを意識する
・体幹で姿勢を支えて、重心の移動に振り回されないようにする
ってところでしょうか。

…ただねえ、体幹で支えろ、って言っても、単に腹に力込めたらそれはそれで力んでるっていう気もしなくもないので、何かもっといいやり方があるんじゃないかっていう考えもあったりします。
それがどういうものなのか、わからずにいますけど。

2016年12月3日土曜日

杖道上達講座 その3:ヒザ

先日の広島の大会で「料理ネタばっかりやってないで杖道ネタをやりなさい!!」的なご意見を頂戴いたしまして、長らくほったらかしだったこの連載を久々に引っ張りだした次第です。


さて今日のネタはヒザ。
たまたま今日の稽古でちょっと話題にもなりましたので、ちょうどいいタイミングです。


ヒザ。
ヒザねえ…。


個人的にはこれがバッチリ使えたら範士8段免許皆伝ものじゃなかろうかと思うんですけれど、この連載はあくまで「私が5段になるまでにこんなことを注意されてきましたから、後輩の皆さんもよければぜひ参考にしてね」というのが趣旨ですので、今回もそのつもりでやっていきましょう。


ヒザに関してはあれですね。
「ヒザは柔らかく、力を抜いて」ってそれだけ。

「おっさんの毛脛なんか見たくねーよ!!」と言われそうですけどちょっと体を張ってみましたよ。

ヒザを突っ張って棒立ちの状態。


ヒザの力を抜いて緩くしたところ。

完全にヒザが曲がっている状態。

要するにこの真ん中の状態で維持するんですよー、ってこと。
慣れれば意識しなくても杖や木刀を持ったら勝手にこの状態になると思われる。
そうなるように日々意識してみましょうね。


これが特に意識されるのは11本目の乱留で俗にいう抑止打ちをしたところですかね。
秋の関西地区講習会でも「ヒザを曲げちゃいけませんよ」という指導がありました。
かといって、棒立ちでもよろしくない。
足を詰めた形で打ち込んでも程よくヒザの力が抜けてるか、曲がってないかっていうところがミソ。

…むかーしは「ヒザを軽く曲げて気持ち腰を落とせ」って言われてような気がしなくもない。
まあ昔の話です、昔のね。
ヒザが伸びきってたのを指摘されただけかもしれないし。



それとヒザと言えば忘れちゃいけない。
体をひねる時のヒザの使い方。

例えば返突や逆手突なんかで体をひねるような動作をすることがありますね。
確か大阪の森本先生が3,4年前の講習会でおっしゃったんだと思うんですけれど、「ヒザを回すようにすると楽に体が回るよ」って。
腕の力で杖を返したり、腰自体をひねって回ろうとすると、どうしても力みが出て抵抗になってスムーズに回らないんだけれど、前を向いている膝を横に向けるように回すと上半身の力は一切要らずに楽に回るっていう、そんな説明だった思います。

で、実際に楽に回ります(筆者の体験であり、以下略)。
良ければ皆さんも試してみてね。


ということで薄い内容をもう一度改めてまとめますと、

1.ヒザは突っ張らず曲げず、程よく力を抜いて
2.体をひねる時はヒザで回る

ということでした。


次回がいつになるかはわかりませんが、気長にお待ちください。