2016年8月22日月曜日

杖道上達講座 その2:カカト

本題に入る前にお知らせ。
先に少しお知らせしたように明日から10日ばかり旅に出ますので更新が止まります。
あしからず。




ということで、杖道上達講座第2回、はっじまっるよー。



ちょっとずつ注目する視点を上げていくよ、と言いましたね。
そういうわけで今回のテーマはカカトです。
どんだけちょっとなのー。


カカトについて、注意すべきことはほぼ1つ。
やや半身の構えの時にほんのわずかに浮いているかどうか。

これだけ。

やや半身の構えの時、と書きましたけど、太刀を持った時の足運びもそれと変わりませんので(脇構えを除く)、そういう意味では特に太刀を持った時に重要ともいえるでしょうか。もちろん杖を持った時もですよ。


注意すべきことは1つですが、注意する方向は2つあります。
(1)カカトがべったり着いている
(2)カカトが浮きすぎている



(1)から考えていきます。
カカトがべったりついている場合。

多いのは重心が後ろに行き過ぎてるケース。
いろんな理由が考えられますけど、おおよそは猫背、へっぴり腰、反り返り、その他上半身の姿勢の崩れじゃないですかね。

猫背だと頭が前に落ちるので自然に背中を後ろにもっていくことになり重心が後ろにずれます。
へっぴり腰はそもそも腰が後ろに引けてますね。

この2つの姿勢は胸を張って、頭のてっぺんがマリオネットよろしく上に引っ張られてるつもりで上半身をまっすぐ起こしてみましょう。
姿見があるならそれを使って姿勢を見直してみましょうね。

なお猫背の方はこの画像が直し方の参考になると思います。
こうして上半身をまっすぐ整え、しかる後に重心を後から前に(中心に)移すのです。

反り返りはたぶんですけど、杖や太刀を持つと前に重心が引っ張られるので、それに対抗するのに後ろに体を持って行っているからという理由じゃないかと。
前に重心が引っ張られるから後ろに体を持って行ってバランスを取る、っていうのは物理学的には正しいんですけども、杖道的にはあんまりよくないです

じゃあどうやって杖や太刀を支えるんだって?
そりゃ体幹の筋肉で支えるんです。
腹筋と背筋と名も知らぬインナーマッスルで。

そしたらお腹が引っ込んで姿勢が良くなってひょっとしたらウェストがくびれて何かの拍子に「あなた素敵ね」なんて言われたり…おっと妄想が混じりました。

いずれにしても、姿勢を正して丹田を張る、そして重心を整えることが大事。

もう1つ、後ろ足が横を向いていると大体べったりカカトが着いてますね。
そういう人はまず後ろ足を前に向けるところから始めましょう。

横を向く癖が治ったら、それからカカトが浮いているかどうかを確かめましょう。
1度に2つのことを直そうとせずに、何事も1つずつですよ、1つずつ。




次に(2)カカトが浮きすぎているケース。
これは腰が高い人が多いように思います。


カカトが着いてる

カカト浮かせなきゃ!

つま先に力入れてカカトを持ち上げる!

これ、間違いね。

これをしちゃうと体全体が持ち上がって重心が上がり不安定になっちゃうんですよ。
上でも書いているように、カカトを上げるっていうより、重心を前足に後から中心に持っていく感じ。
そしたら上げようとしなくても後ろ足のカカトはすっとわずかに、つまりはちょうどいい具合に浮くと思います。
この写真で言わんとするところが伝わりますかね。


カカトが上がりすぎてるっていう人は、まず腰・丹田らへんの重心を意識して、軽く膝を緩くして重心を落としましょう。

それでカカトが着いちゃったらそこから重心を前に中心に移してみてね。


後は後ろ足の膝が曲がっちゃってる人。
これは単純明快、思いっきりこれでもかってくらい突っ張って膝を伸ばしましょうね。
後は上のパターンで体全体の体勢をチェックしましょう。




ざっとまとめます。
(1)カカトが着いている人は、まず上半身の姿勢と後ろ足の向きを見直す。
(2)カカトが浮きすぎている人は、重心が高くなって腰が浮いていないか見直す。
そしてどちらもカカトを上げようとするのではなくて、重心を後ろから前方へ中心へ寄せる。

単純にカカトだけ気にすればいいというわけではなくて、体全体の姿勢、バランスが大事なんだよということに気づいていただければ幸いです。

構えた時、打ち込んだ時、受けた時、それぞれのタイミングで姿勢を気にする心がけが大事だとおもうのであります。


(2016.9.20追記) 「重心は前足に乗せちゃだめだよ、中心だよ」というあまりに初歩的でもっともな指摘を頂いたので一部修正しました。

2016年8月21日日曜日

せんでん!

毎年恒例、岡山県古武道祭の案内をいたしましょう。


岡山県古武道祭
平成28年9月18日(日)
岡山市北区いずみ町 岡山県総合グラウンド内の岡山武道館にて。


竹内流、二天一流、柳生新陰流、養心流その他多数の流派の演武を一堂に観覧できます。
お近くの方、お手すきの方は是非どうぞ。

なお私は同日別件のためいけませんあしからず。

2016年8月19日金曜日

じゅんび!

山形での杖道6段・7段審査会&地区講習会も、気づけば来週に迫りました。

審査に臨む方はもう今更じたばたしたって始まりません。
せめてと全力を尽くせるように体調を整えて当日を迎えてほしいと思います。


そんでもって私は東北行脚も一緒にしてやろうと画策しているところでありまして、今からどこに行こうかなとツーリングマップルとにらめっこしております。

そうですよ、バイクで行くんですよバイクで。
ただし雨が降らなければ、という条件付き。
杖と木刀と道着は宅配で送ってしまうんですよ。

早め早めに、22日か23日には出発してあちこち物見遊山しながら25日に山形入りかなって感じ。
あんまり雨が降りそうならバイクはやめて電車で行きますけどね。

東北はこれまで足を踏み入れたことがない地域ですから、今から色々楽しみです。

え?
ええ、そりゃもちろん杖の稽古が一番楽しみですよ?
きまってるじゃないですかーやだなーもう当然ですよねー、と白々しいことを言ってみる。

2016年8月12日金曜日

ねむいよ…

最近、朝が起きられなくて困る。


夜遅くまで寝苦しくて寝付けない
→結果として夜更かしになる
→朝起きられない
→夜寝つけない
→朝起きられない


この悪循環にどっぷりはまった様子。

目覚ましとかで朝目が覚めてもなんとなくだるくて起き上がりたくない感じもあり、「ああ、ニートだなあ…」とか思いながらまたまどろみの中へ落ち込んでゆくのであります。

次の土曜にはちゃんと起きだして稽古に行きたいですね。

2016年8月7日日曜日

杖道上達講座 その1:足元

杖道人口を増やすにはアクセスを増やさねばならぬ
→アクセスを増やすには有益なことを書かねばならぬ


ということで、しょうもないよしなしごとが中心の、ゆるくかるくおちゃらけがモットーのこのブログでしたが、不定期連載で皆さんの上達の助けになるようなことを書いていってみたいと思います。

主なターゲットは初・2段以下のいわゆる初級者で、そのクラスの人たちが3段4段を目指すにあたってどういう部分をどう直していけばいいのか、現5段であるところの私が思うところを取り上げていきます。
要するに、私自身がやらかした失敗とその反省および指摘事項の積み重ねですね。

もし皆さんの師範方と私の言うことが食い違ったら、当然それは師範のおっしゃることを優先してください。所詮地方の実績も実力もない5段風情が書き散らすことですから。

こんな大きいテーマできるかなあ、とも思いましたけど、
先人の言葉に従ってやってみたいと思います。



さて、第1弾のテーマは足元です。
ちょっとずつ上へ上へと視点をあげていこうかなと。


最初に結論からいうと、杖道における足の形、足の配りは極論すれば3種類しかありません。

1.常の構え
2.やや半身の構え
3.真半身の構え

この3つです。
やや半身と真半身には左右が有りますから、それを別にしても5つだけ。
例外と言えば、返し突きや逆手突きで体をひねった体勢における足の形くらいですけど、これもひねりを解けばやや半身の体勢なのであえて注目はしません。

1つずつ見ていきます。
まずは常の構え。
ポイントは(1)両足が平行であること、(2)両足は1足程度開かれていることの2点。

(1)について、初級者ではかかとが閉じ気味で逆ハの字になっている場合が多いのでそこが注意点でしょうね。
箸の持ち方といっしょで、気を付けないと気づかない、気を付けないと治らない、だけど覚えてしまえば気を付けなくてもできるようになるものです。
ですから気を付けてみてください。治るまで。




次にやや半身の構え。
左右の足の開きに加えて、前後の開きもおおよそ1足分が目安
前後の足の開き具合も大事ですが、左右にも足の開きが必要です。
前から見て後ろ足が前足に隠れているのは不十分ということですね。

後ろ足の確度について教本には「後ろ足つま先を約45度に開き」 とありますが、経験上、「45度だ!」と思って足を開くと、多くの場合は開きすぎて横向きに近くなります。
これは、体が前後に開いてるのにその上に45度で開こうとすると余分に開いてしまうからだろう、と思っています。
ですので、足の開きすぎを指摘された時は「体も足も前向きだ!」と思うくらいでちょうどよくなることが多いようですね。(あくまで個人の感想であり以下略)




次に真半身の構え。
(1)前足は約45度、(2)後ろ足は真横、よく言われるのはこの2点ですけど、隠れて大事なのが「中心線上にいること」です。

これがよくある悪い例。
上の図と比べると中心から外れちゃってるのがわかりますかね。
ここから引き落とし打ちとかを繰り出すと、正中線から外れてしまうであろうことが容易に予想できるわけです。

じゃあこうならないようにするにはどうしたらいいんでしょうか?
答えはこちら。

作図上の都合で多少のズレはあるけどキニシナイ。

前足はカカト、後ろ足はつま先(母指球)を軸に回転させることで、やや半身と真半身は相互に変換できるんです。
というか、突き外し打ちを正しく行うにはこれが必須のはず。
是非1度ずっと中心線をとらえているか確認してみてくださいね。

中心線からずれる人は、大体が前足のつま先を軸に回ってさらに後ろ足を前足に合わせて動かしてしまうようです。
「前足の軸がえーとどっちだっけ、あれ、後ろがカカトだっけえーとえーと」ってなっちゃうあなたは、「とにかく両足で中心線を踏むんだ!」って思えば大丈夫、できます!!きっと。たぶん。おそらく。

ちなみに、常の構えとやや半身の構えも相互変換可能です。
ほらね。
後ろ足を母指球を軸に直線移動・回転させれば互いに入れ替わることがわかるでしょ。
実際には前足を進めて後ろ足は回転だけということのほうが多いですけど。


もし型の中でこの3つと違う足の配りをしていたら「あれ、おかしいぞ?」と思ってくださいね。
構えた時、攻めて出る時、受けた時、捌いた時、どんな時もこの3つのどれかの形をしているはずです。
足の形が違っていたら、それはすなわち型が崩れていることの証です。


…え、抑止打ちとか繰り付けとかはどうなんだって?
じゃあ、はい。
 これが繰り付けを受けたところね。
足の開き具合は若干違うけど、ちゃんと真半身の足配りでしょ。


で、抑止打ちで打ち止めたところ。
逆手の構えで足を前後に詰めただけだって言うことがわかりますね。


最後にもう一度まとめます。
(1)杖道における足の配置は3種類しかない。常の構え、やや半身の構え、真半身の構えである
(2)3つの構えは母指球とカカトを軸とした回転及び直線移動によって相互に入れ替わることができる

次の稽古でちょっと気にしてみると上達の道が開かれるかもしれません。

以上、杖道上達講座第1回でした。