人に何かを教える、というのはなんとも難しいものです。
杖は特に2人1組ですから、どうしたって相手の粗が目について、ついついああだこうだと言いたくなるわけです。
初心者や段位が下の人と組んで稽古するときなんかは、とりわけそうしたことがおこります。
相手に何かを教えるって事は、裏返して「自分はできてる」と思ってるわけだし、やっぱり優越感なんかが働きますから教える側というか口を挟む側としては誠に気持ちいいんですな。
なんですけれど、ちょっと自分が教わる側になることを考えるとそれでは真に具合が悪い。
そこに思いが至る人は余り多くはないようですが。
口で言われて「はい、こうですね」とひょいと出来るなら稽古なんていらないし、そりゃああれこれ言われるのはもちろん技をきちんと遣えていないということがあるにせよ、言われっぱなしというのはいくら教わる側としても気分がわるいわけです。
まして、あれこれ言ってくるわりに腕前が付いてきてなければ「何を鬼の首でも取ったように偉そうに」と、こうなるのが自然です。
そこらあたりをちょいと頭の片隅においておくと、人様に「アレがおかしい、コレがヘンだ、もっとこうすればいいのに」等とはそうそう言えないはずなんですな。
初段だったか2段だったかのころ、稽古しながら相方に色々言っていたところ「そんな風に偉そうにあれこれ言うものやないで。みな口で言うほどにはできひんものやからね。」とたしなめられたのも良い思い出。
ま、3つ気になることがあっても口にするのは1つだけにして、10の言葉で言おうと思っても1つにまとめて、短く簡単に伝えるくらいでちょうどじゃないかな、と思っています。
少々間違っていてもとにかく稽古の繰返し。これに勝る精進はありませんわい。
言いたいことを好きに言っていれば気持ちは良いかもしれないけれど、聞かされる側はたまったもんじゃございませんわな。
百万言より一の行動、ま、これでしょうな。
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